技術の進化とは

そういえば、今回ギターを買うにあたってエレキギター周りの進歩に色々と驚きました。
(自分の知識は90年代前半で止まっていたので)


■シュパーゼル・トリムロック

普通は弦を交換したらペグの穴に弦を通してペグをぐるぐる回してチューニングをして完了という流れですが、
このシュパーゼル・トリムロックというのは穴に弦を通してロックしてペグを少し回したらチューニング完了です。


このトリムロック式は穴に通した弦を裏のネジを締めることにより内部で強制的に挟み込む事で固定します。
そのためグルグルと弦を巻き取らなくても決して外れない様に設計されているらしいです。
この方法の利点はいくつかあって
1.弦の張り替えが早く簡単になる。
2.巻きが少ないため弦の振動がダイレクトにヘッドに伝わる。
とあります。2.はレスポンスとサステインに影響しますね。
実際にSuhrを試奏した時にも「おおっ!」と思いました。(まぁ、ペグの影響だけではないと思いますが)

http://www.jes1988.com/other/sperzel/index.html


以前のフロイドローズ(というか今も現役のシステムですが)というロック式は、このナットの部分を
ネジで締めてロックすることでチューニングを固定します。
チューニングの安定性ではこちらの方が上(たぶん)なんですが、チューニングがめちゃくちゃめんどくさい。
アーミングを多用するのでなければ、シュパーゼルの方が全然楽でよさそう。


■バズ・フェイトン・チューニング・システム

通常のギターでは完全にはチューニングが合わないという構造上の問題を解決すべく、独自の公式によって
ゼロフレット位置とサドル位置を割り出し、より積極的にチューニングを合わせる革新的なシステムらしいです。


◆今までのギターの問題点(「At Guitars - BFTSとは?」より)

セッションミュージシャンでもある開発者のバズ・フェイトンは、今までのギターではナット・1フレット間の音程が
半音より広がってしまう問題に気づきました。
これは、弦を押さえたときにはテンションが高くなり、ピッチも高くなることに原因があります。
しかも、押さえるポジション(フレット)の位置がナットに近ければ近いほど、このテンションとピッチの上昇率は高くなります。
ナットの溝を低くすれば多少の対抗策にはなりますが、弦はビビリやすくなり、楽器の音色も悪くなります。
しかも、音がシャープするという問題を根本的に解決することはできません。
また、ギター本来のフレットは弦をヒットした直後の音程がシャープするという弦楽器特有の特徴に加えて、
高い音程がシャープして聴こえるという人間の耳の構造的な問題も考慮されていません。
特に和音の響きの違いがわかる二つのコードを弾いてみてください。Aシェイプではきれいに聴こえるコードが、
Dシェイプのコードでは若干不協に聴こえるはずです。特にギターの場合、B弦とG弦間での問題を感じやすいと思います。


◆システムの仕組み (「Full Moon Guitars - バジー・フェイトンが説明するB.F.T.Sについて」より)

1690年以前、ピアノは作曲家が書く楽曲のキーに合わせてチューニングされていました。ト長調ならG音に合わせるという具合です。
ですからG又はそれらに関連するキーのEマイナー、Aマイナー、Bマイナーしか演奏できなかったのです。
この制限に作曲家や演奏者はとても悩まされました。
しかし1690年のドイツで、新しい調律方法がヨハンベルクマイスターにより開発されました。
彼はピッチを0に合わせてからややフラットかシャープさせたのです。
これにより初めて作曲家や演奏者は他の音程を弾けるようになりました。実際バッハは”平均律クラビア”という曲集を作り、
ベルクマイスター達の新しいチューニングを披露しました。 BFTSもこのベルクマイスターの調律法の原理を利用しています。
つまりチューニングやイントネーションを0に合わせてからコードの不協和音を防ぐためピッチをわずかにずらしたのです。

BFTSシステム搭載のギターで試してみましょう。5度、4度、3度、マイナーの3度。もう一度。5度、4度、3度、マイナーの3度。
全音程が合っていますね?これらの音程は合って聞こえますが、通例に従って言うとチューニングは合っていないのです。
これはベルクマイスターのピアノ調律と同じでピッチをわざとずらしているのです。
ところで、このベルクマイスター調律法は西側諸国で広く受け入れられています。

先ほどGとB弦の和音を弾きましたが、これはギター上一番厄介な所です。これについてはお客さまの不満をよく聴きますし、
私もGとBの間で音を合わせるのに苦労しました。
詳しく説明しましょう。チューニングを改善する際、ベルクマイスターは次の事を発見したのです。
もし完全音程(パーフェクトインターバル)の4度、5度、又はオクターブが若干フラット又はシャープしていても
人の耳では聞き取れません。

でももし3度、6度、又は10度がシャープした場合にはとても不快に聞こえるのです。
むしろ、3度がフラットしたほうが奇麗に聞こえるのです。
ベルクマイスターは完全音程の4度、5度、オクターブの音をわずかにずらす事で、
3度、6度、10度の音を綺麗に聞こえるようにしたのです。

BFTSの原理も同じです。BFTS搭載のギターのB弦は正確に0か、ややフラットでイントネーションされています。
逆に、G弦の開放弦はフラットでチューニングされ、イントネーションはシャープさせます。
バロックマイスターの調律も同じです。

5度の音をフラットさせる事で違うコードを弾いた時、その音が3度になった時でも綺麗に聞こえるようにしたのです。
これは先ほど説明したように3度の音の方が重要で、この音がフラットになる方が綺麗に聞こえるからです。

では、BFTSの定理に従い5度を狭めてみます。例えばB弦をそのままチューニングして、
イントネーションは0かややフラットに合わせたとします。
そしてG弦のチューニングをマイナス2に合わせ、プラス1でイントネーションします。これで音程が狭められます。
G弦は弾く時に多少シャープさせますが、B弦のイントネーションは0か多少フラットに合わせます。
この設定によりG弦はシャープし、B弦はフラットします。つまりこの2つの音程は狭まったのです。

3度の響きが良くなっているのがわかりますか? 5度も同じように奇麗に聞こえます。
これがBFTSです。私たちはこの見逃しがちな問題を探し当て解決したのです。


http://www.guitar-shop.co.jp/buzz_feiten.html


KORGにはこれ専用のチューナー(Korg DT-7)があったのですが、生産中止らしい。。。orz
あと、ナットが正規のBFTS シェルフナットではないっぽいので、今度買った店で聞いてみよう。